株に興味のある人はまずはコレ!『臆病者のための株入門』橘 玲 (著)
原理原則は、何年たっても変わらない。2006年の発売以来、増刷を重ねている「クールで知的な株入門」の本書は、株式投資の原理原則が学べる傑作だ。
▼特徴を一言でいうと
臆病者が”カモられずに”、お金を増やす方法が学べる
▼ 目次
- はじめに 臆病者には臆病者の投資法がある
- 第1章 株で100万円が100億円になるのはなぜか?
- 第2章 ホリエモンに学ぶ株式市場
- 第3章 デイトレードはライフスタイル
- 第4章 株式投資はどういうゲームか?
- 第5章 株で富を創造する方法
- 第6章 経済学的にもっとも正しい投資法
- 第7章 金融リテラシーが不自由なひとたち
- 第8章 ど素人のための投資法
- あとがき 追証がかかった日
文章も面白くて読みやすい。新書でコンパクトにまとまっており、第8章では、著者のオススメ投資法も掲載されている。本の裏表紙にもあるが、第6章では、「経済学的にもっとも正しい投資法」も紹介されており、(詳しい人には常識であるが)ご存じない方は、必見である。
▼ ピックアップフレーズ
とても簡単にいうと、株の世界にはまったく相容れない考え方が3つくらいあって、それぞれが好き勝手なことをいっている。(P11)
株式投資はギャンブルである。でもそれは、たんなる賭け事ではない。素人でも大きな果実を手にすることができる、世界でもっとも魅力的なギャンブルなのだ。(P22)
株式投資が偶然のゲームであるという事実を前提とすれば、「必ず儲かるチャート分析」の類はすべてインキチである。同様に「確実に儲かる長期投資法」というのもこの世には存在しない。(P126)
宝くじを買って億万長者になろうと夢見ていたり、競馬や競輪で生活しようと考えているのであれば投資はやめたほうがいい(ゲームとして楽しむならこのかぎりではない)。投資用にワンルームマンションを買っているひともかなりあぶない(高額所得者が税金対策と割り切るなら別)。こういうひとは、ギャンブルでいちばん大事な期待値の計算ができていないからだ。(P172-173)
自営業でもサラリーマンでも、あなたが投資以外に別の仕事をしていて、余裕資金を株式市場で運用しようと考えているならば世界市場ポートフォリオを勧めたい。(P213)
本書で特にわかりやすいのは、株式投資の「3つ代表的な手法」がメリットとデメリットと共に解説されている点だ。巻末に、それぞれの参考文献が8冊ほど厳選されて掲載されているのも、非常に役に立つ。(書籍で、詳細を確認して欲しい。)
1. トレーディング
メリット: ゲーム性が高く、いちどハマるとやみつきになる。
デメリット:ゼロサムゲームなので、初心者の大半は敗退していく。2. 個別株長期投資
メリット: 資本主義の原理に忠実なので、もっとも大きな利益が期待できる。
デメリット:企業調査に時間と努力が必要。3. インデックス投資
メリット: あまりに簡単で考える必要すらない。
デメリット:平均的にしか儲からない。
個人的には、「余剰資金で株式投資を行うことに賛成」である。私も経験があるが、株を保有していると、「自然と経済ニュースに関心を持つ」からだ。(「日経平均があがった」など、これまで素通りしていたニュースも関心を持つようになるだろう)
私も、投資関連の本は50冊以上読んでいるが、「株式投資を学ぶのにベストな1冊」として、本書を推奨したい。この一冊を取りかかりにして、掲載本を読み進めて行けば「カモられない」、まっとうな投資知識が蓄積されるだろう。
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