【本】『もしドラ』を読んで、『マネジメント』を買おうか迷っているあなたへ。


ダブルミリオンセラーの『もしドラ』が、NHKでアニメ化されるが、『もしドラ』を読んだものの、『マネジメント』を買おうか迷っている人は多いのではないか。実は、私が最近までその一人で、今回ようやく『マネジメント』を読んでみた率直な感想をお伝えしたい。

追記: 東方・関東大震災の影響で、 アニメ放送は延期。4月25日から。

マネジメント

楽しいが、読み手のスキル・度量が試される本

読後感を一言でいうならば、「非常に楽しかった」である。想像以上に楽しめた。では、『もしドラ』を読んだ人、全員が「非常に楽しかった」という感想を持つかと言えば、そんなことはないと思う。読み手のスキル・度量が試される本ではないか。

私は、これまでにビジネス書を1,000冊ほど読んでいるので、「ドラッカー凄いな」と感じる事ができたが、7年ぐらい前の、ほとんどビジネス書を読んでいない自分が読んだとすると、「う~ん、難しい本だな」と感じると思った。

これは、人気漫画のSLUM DANKで例えれば、シュート練習を重ねた桜木花道が、流川楓の凄さを知ったような感覚だと思う。

 

では、『マネジメント』は、『もしドラ』を読んだ万人にお薦めでは無いのか?

 

いや、やはり読む価値のある本だと思う。

 

ドラッカー氏の魅力は、「本質を捉える力」「鋭い洞察力」「卓越した先見性」「巧みな文章力」など数多いが、私が一つだけ挙げるとすれば、「人間への愛情」を挙げたい。

 

そう、ビジネス書であるはずの『マネジメント』を読むと、「愛情をこめて叱ってくれる祖父」のような感じを受けるのだ。ある意味で、上質の小説や、哲学書を読んでいるような気にすらなる。

 

具体的に人間味を感じさせる言葉としては

学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、始めから身につけていなければならない資質が、一つだけある。才能ではない。真摯さである。(P130)

や、

人のマネジメントとは、人の強みを発揮させることである。人は弱い。悲しいほどに弱い。(P80)

などがある。これらは、『もしドラ』でも引用された言葉だ。やや意外な記述もあった。

顧客をもてなすためにコールガールを雇うことは、倫理の問題ではない。人間としての美意識の問題である。(P111)

 

私は、「もしドラ」で引用されている箇所以外に、味わい深い言葉はあるのか。 を 意識して読んだのだが、結論から言うと、もの凄くあったむしろ、これほどあるとは思わなかった。

 

時間 - 時間はもっとも消えやすい資源である。(P19)

 

「われわれの事業は何か」を真剣に問うべきは、むしろ成功しているときである。(P25)

 

売上げの伸びとは関係なく、市場シェアは企業にとって致命的に重要である。(P30)

 

利益とは、企業存続の条件である。(P35)

 

目標は、実行に移されなければ目標ではない。夢にすぎない。(P36)

 

上記は、第1章で私が気に言ったフレーズの抜粋であるが、全9章302ページある『マネジメント』には数々の金言が詰まっている。そして、本は、一つでも自分にとってプラスになる言葉があれば、読む価値があると思う。

 

具体的に、どういう人にお薦めか

私は、あなたに『マネジメント』を買って頂きたくて、この文章を書いている訳ではない。『マネジメント』を買おうか迷っているあなたへ、一つの参考意見を提示したいだけだ。私の思う、対象者をまとめると以下の通りだ。

せんちえ的『マネジメント』読者対象者

 

ひとつ確かなことは、『もしドラ』を読んだ人は、『マネジメント』の言葉がスッと心に入り易いという事だ。これからNHKで始まるアニメや、6月に公開が予定されている映画を、より楽しみたい人にもお勧めしたい。

ただし、先ほど記したが、「読む人のスキルが要求される本」でもあると思うので、『もしドラ』を読んでない人で、ビジネス書をほとんど読まない人には、私はお薦めできない。むしろ、「ビジネス書って難しいな」と感じてしまうと思う(特に『マネジメント』は)。そういった方は、『もしドラ』を最初に読んでいただきたい。

また、『もしドラ』を読んだけども、全く役に立たなかったという人は、誤読している可能性が高いので、この機会に、再読してみてはどうだろうか。いや、以前ご紹介した、オーディオブック版の『もしドラ』を聴く方が良いかもしれない。本を読んだ時とは、違う「気づき」が得られるだろう。

 

正直なところ、現在の私でも、『マネジメント』は深く理解できてない部分が多い。前提として、1回読んで理解できる本ではない。と考えて、何度も読む本ととらえておくのが良いと思う。2,000円ほどする値段が高くて購入に踏み切れないという人もいるかもしれないが、それだけの、いやそれ以上の価値がある本だと思う。(高いと、逆に元を取ろうという意識もはたらくので、変に安いより良いかもしれない)

 

『もしドラ』を読んで、これから『マネジメント』を読もうという方へ

最後に、『もしドラ』を読んで、これから『マネジメント』を読もうという方へ、読み方のご提案をしたい。

 

せんちえ的 『マネジメント』 の読み方

 

本に線を引くことに抵抗がある人も多いと思うが、本家「せんちえ」に平易な文章で記したように、本のエッセンスを吸収することが大事なので、私は線を引くことをお薦めしたい。もちろん、必須ではないが、『もしドラ』を読んで、これから『マネジメント』を読もうという方は、引用部を青文字で線を引いておくとより吸収しやすいと思う。

参考に、もしドラの引用部を記しておく。

 

 

『もしドラ』 『マネジメント』
1 P16 P129
2 P17 P130
3 P18 P130
4 P24 P22
5 P25 P23
6 P35,36 P23
7 P36 P23,24
8 P37 P24
9 P52 P25
10 P58 P16
11 P59 P17
12 P89 P57
13 P89,90 P73
14 P90 P74
15 P92,93 P125
16 P94,95 P125
17 P119 P262
18 P120,121 P80
19 P121 P79
20 P124 P16,17
21 P134 P62
22 P135,136 P140
23 P137 P3
24 P137 P74
25 P138,139 P75
26 P142,143 P17,18
27 P143 P266,267
28 P144 P269
29 P150,151 P9
30 P171 P275,276
31 P175 P145,146
32 P176 P228
33 P178 P236
34 P178 P31
35 P179 P243,244
36 P180 P30,31
37 P181 P244
38 P181 P147
39 P182 P236
40 P182 P139
41 P184 P29
42 P204 P200
43 P212,213 P147

 

本来、こういう時は、電子書籍版の『もしドラ』を利用して検索した方がベターだったが、目視で探したので漏れがあるかもしれない(もしあった場合は、コメントやツイッター等でご報告頂けると嬉しい) 。電子書籍版の『マネジメント』は、まだ出ていないようだが、『もしドラ』の引用部が、色付きになる機能などが付いていると面白いと思う。

 

 

それにしても、『マネジメント』を読んだ後に、もう一度『もしドラ』を読むとまた違った味わいがある。4月25日から始まるアニメ版も楽しみだ。

>>  NHKもしドラ公式サイト  http://www9.nhk.or.jp/anime/moshidora/

 



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